【コラム】 あなたの子育てのゴールは何ですか?

ファミリードを立ち上げてからいつしか3年が過ぎていました。

それこそ3周年記念イベントとか考えるべきだったかもしれませんが、活動があまりに日常に溶け込んでいたのか、「やっと3年」というより「まだ3年」という感覚の方が私にはしっくりきます。

コロナ禍が明けて、お陰様で講座依頼は増えてきました。

動画視聴タイプの講座も人気で、「子どもを10年小学校に通わせていますが、いつもは仕事で行けませんでしたが、初めてPTA主催の講座に参加しました」というようなお声を聞くと嬉しくなって張り切ったものです。

設立の発端は、「一人でも多くの保護者の方へ栄養や食品の安全性の現状を伝えたい」という思いからでした。当時は妊活を活動の中心としていましが、実は妊活はお母さんのお腹の中にいる時から始まっているのです。保護者に訴えなければ、という思いに駆られていました。

副代表の亀谷さおりはファイナンシャルプランナーで、おこづかい教室をテーマにしました。

最初は栄養学と金融教育のみ。

それが今では、親子間コミュニケーション、キャリア教育、英語、性教育、デジタル教育、体づくりなど様々な専門的な講師が集まってくれました。

『ペアレントサミット』と銘打ってイベントも行いました。

大学入試の変化に注目したり、子どもの特性をどうやって見つけてキャリアに結びつけていくか、というようなテーマでディスカッションを重ねているうちに、ある思いが脳裏を巡りました。

「子育ての究極のゴールはキャリアデザインだ」

よく一人でも食べていけるようにと「手に職をつける」ことを子どもに説く母親が映画やドラマなどに登場しますが、それと似た発想ですね。

ただ、それは「経済力を担保する」だけにとどまっているので私の意図するところの一部かもしれません。

つまりどんな職でもいいというわけではなく、その子どもがその仕事をして楽しいかどうか、それなりに評価され社会的に快適なポジションに立っていられるかどうか、ということが重要だと思うのです。

私は高校を卒業した後すぐに大学には行けず、デパート勤務で資金を貯めた後アメリカの短大を卒業し、いろんな仕事を転々としました。広告代理店や企画会社、IT企業など。

一貫性がないにも程があり、企画したり制作したりすることが好きであったものの、当時の私は「ちょっとかっこよく思われたいなぁ」という恥ずかしくなるぐらいチャラい人生観しか持ち合わせていなかったのです。

そのうちバブルが弾け両親の店の経営不振に煽られて、東京暮らしをしていても彼らを支えられるようにと見入りの良い仕事を探さざるを得なくなりましたが、幸運にも世界大手の製薬会社に社員として迎えられることができました。

収入はパーンと飛び上がり、両親を経済的に助けたり、東京に招いて遊んだりすることはもちろん、私の生活も十分潤いました。

その後、会社は何度もM&Aを繰り返し巨大化し、私の責任範囲も広がり、毎日忙しく過ごすようになりました。遅まきながら伴侶にも恵まれ、40歳目前にして子どもにも恵まれました。

その当時の職場の環境は心地よく、とても大事にしてくれました。
なかなか評価されない時期がありましたが、私の特性を理解し上手に使ってくれたのだと思います。

やっと掴んだ幸せを噛み締める日々が続きました。

でもなぜか仕事に対する満足感はちっとも得られなかったのです。

そこで医薬開発というこれまでとは畑違いの部署に異動願いを出して会社はそれに答えてくれましたが、そこまで世の中は甘くなかった。

というよりそんな軸がブレブレの人間が育児をしながら渡り歩けるようなパスではなかったのでしょう。かなり無茶な人事異動だと周囲も驚いていましたし。

ついに双極性障害と診断されるまでに心身ともにボロボロになりました。

思い返せば、子どもの頃から自己肯定感が低く、人からの評価や風評に振り回され続け、いつも緊張状態で決して健康ではありませんでした。

「この状態になったのは極度のストレスと分かっている。ストレスから解放されれば治るはず。今薬を飲むことは得策ではない」と本能的に悟った私は、分子栄養学というものに出会い、現在の生業として、やはりかつて私のように困った状態になった方々の支援をしています。

お恥ずかしながら収入は未だ安定したとは言えませんし、夫にも迷惑をかけてばかりですが、楽しいというよりどうしても辞める気になれないのです。「これだ!」と思える仕事に出会うのというのはこういうことなのかもしれません。

そして、ファミリードの活動を通して、子どもの頃から自己肯定感をもつこと、自分軸で考えることがどれほど重要なのかを講師らに教わりました。

もし、これらを子どもの頃から私の特性や嗜好を知る誰かが導いてくれていたら、私の人生は180度違っていたと思います。

でも、こんなつまづきがなければ、ファミリードの立ち上げには至っていなかったでしょうから私の経験を否定する気はないし、芋を洗うような忙しさで子どもは食わせるだけで精一杯という時代でしたから両親を咎めるつもりもありません。

ただ、今は世界的にも個々の強みを伸ばして活かすキャリアを考えるのが標準的なようです。

かつての日本のようになんでもできるジェネラリストを大量に必要とした時代は終わっていると感じています。

それなのに、教育する側も私たち保護者の意識は昔からあまり変わっていないように感じるのは私だけでしょうか?

苦手はものは苦手なままでいい、ということが許されないのです。
組織の中では、得意な人がやればいい、という考えが主流を占めているのではないでしょうか。

しかも、今年度の中学受験の受験者数は過去最高だったそうです。

それが何を意味するのかわかりませんが、本当に子どもの心からの意思なのか、受験に向かって小学校高学年の貴重な数年間を毎日塾で過ごすことが健全なのか、私は疑問を拭えないのです。

子供の特性を積極的に探り、経験を積み重ねてキャリアに繋げる。

これを一貫性を持って行うことは保護者にしかできないことですし、子どもの幸せの土台となる子育ての最も重要な部分だと思います。

そして大学受験もその考えにシフトしており、「総合型選抜入試」と呼ばれ、多くの大学が採用しています。

次回はこの総合型選抜入試に関して思うことを書きたいと思います。


2023/11/16
代表 星谷みよ子